漢字ワールドものがたり 第2部 こわれた橋のむこう

第4話教えるか、まかせるか

六人は、高台の草の道を進(すす)んでいた。

道のわきには、背(せ)の高い草や木が生えている。

少し先へ行くと、大きな枝(えだ)が何本も地面(じめん)に落(お)ちていた。

枝(えだ)は道の一部(いちぶ)をふさぎ、その向(む)こうの景色(けしき)をかくしていた。

「あれ? 道が見えなくなっちゃった」

ソラは、枝(えだ)の前で立ち止まった。

ルウが少し上へ飛(と)んだ。

「向(む)こうに何かあるよ!」

木の間から、石をならべたようなものが見える。

「もしかして、川をわたる道かな?」

ソラは、わくわくして枝(えだ)のすき間をのぞいた。

太い枝が道をふさいでいる。そのすき間から、奥に石の通路の入り口が見える

「ここを通れば、見に行けるかな?」

タクミが、地面(じめん)の枝(えだ)を見た。

「道具(どうぐ)があれば、動(うご)かせるかもしれないね」

シンは、枝(えだ)の先と、まわりの地面(じめん)を見た。

「無理(むり)に動(うご)かしてはいかん。重(おも)い枝(えだ)もあるし、見えない場所(ばしょ)へ進(すす)むのも危険(きけん)じゃ」

「じゃあ、どうしよう」とソラ。

「まずは、安全(あんぜん)に見られる場所(ばしょ)をさがしてみるとよい」

シンは、道の横(よこ)にある平(たい)らな草地をさした。

六人は、足元をたしかめながら、少しずつ立つ場所(ばしょ)を変(か)えてみた。

ソラは、枝(えだ)の手前からのぞいた。

「あっ、石の道みたいなものが見える!」

ルウも、ソラのそばに飛(と)んできた。

「こっちに入り口がありそうだね!」

一方、レイは少しはなれた平(たい)らな場所(ばしょ)へ歩いた。

そこからは、枝(えだ)の向(む)こうが少し見えた。

「おい、ソラ! こっちからは、向(む)こう岸(ぎし)に道が見えるぞ!」

「ほんと?」

アカリは川の見える場所(ばしょ)をさした。

「見て! 川はあっちからこっちへ流(なが)れてるよ!」

タクミも、石のならび方をじっと見た。

「石が、川を横(よこ)ぎるようにつづいてるみたいだね」

はなれた場所から、川をわたる石の通路と向こう岸の道が見える。レイとアカリがさし、タクミが考える

ソラは、みんなの話を聞いて、首をかしげた。

「入り口があって、向(む)こうにも道があるんだよね。じゃあ、つながってるのかな?」

「その可能性(かのうせい)はあるのう」とシンが言った。

シンにも、石の通路(つうろ)が川をわたるためのものに見えた。

どこを見ればよいか、くわしく教えることもできる。

けれど、ソラたちはもう、自分たちでいろいろなことを見つけている。

どこまで教え、どこから任(まか)せればよいだろう。

シンは少し考えた。

安全(あんぜん)のことは、はっきり伝(つた)えなければならない。

でも、答(こた)えまで全部(ぜんぶ)教える|必要(ひつよう)《ひつよう》はない。

「みんな、見つけたことを、一度(いちど)ずつ話してみてはどうかな?」

シンが言うと、ソラが手を上げた。

「ぼくは、石の道の入り口を見つけたよ!」

「入り口は、こっちだね」とルウが羽でさした。

レイは向(む)こう岸(ぎし)をさした。

「俺(おれ)は、向(む)こうに草の道があるのを見つけた」

「わたしは、川の流(なが)れが分かったよ!」とアカリ。

「ぼくは、石がどっちへつづいてるかを見たんだ」とタクミ。

シンは、みんなの話を聞いてうなずいた。

「それぞれ、ちがう場所(ばしょ)を見ておったんじゃな」

ソラは、もう一度(いちど)、石の通路(つうろ)を見た。

入り口だけでは、向(む)こうへ行けるか分からなかった。

でも、レイが見つけた道と、タクミが見た石のならび方を合わせると、川の向(む)こうへつづいているように思える。

「そっか! みんなが見たものを合わせると、道がつながってるみたいだ!」

「うん!」とアカリがわらった。

「一人じゃ見えなかったね!」

シンは、ソラたちを見た。

「では、もうこれで、お城(しろ)へ行けると決(き)めてもよいかな?」

ソラは、すぐにうなずきそうになった。

でも、レイが言った。

「いや、まだだ。向(む)こうに道が見えても、本当に通れるかは分からない」

「そうだね」とルウ。

ソラも、石の通路(つうろ)を見つめた。

「じゃあ、次(つぎ)は、あそこまで行ってたしかめよう!」

シンは、ほっとした。

自分で考えるために、必要(ひつよう)なことを伝(つた)える。

そして、考えたあとの決(き)め方は、みんなに任(まか)せる。

それでいいのだと思った。

「うむ。安全(あんぜん)をたしかめながら、行ってみるとしよう」

タクミは、大切に持(も)っていた木の札(ふだ)を見た。

「道が本当につながってたら、あの道しるべにも書けるね!」

「うん!」とソラ。

六人は、枝(えだ)のない平(たい)らな道をえらび、石の通路(つうろ)が見える方へ歩き出した。

みんなが見つけたことを伝(つた)え合ったおかげで、道の先が少しずつ分かってきた。

でも、まだ通ったことのない道だ。

本当にお城(しろ)へつづいているかは、これからたしかめる。

ソラは、木の間から見える石の通路(つうろ)を見上げた。

「よし! あと少しだね!」

ルウも羽を広げた。

六人は、川の向(む)こうへつづくかもしれない道へ、進(すす)んでいった。

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